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vol.172 夏の終わり。

いまから20年ぐらい前。誰もが体験するだろう、自分探し?にでかけたことがある。
行き先はバリ島。単身で約2か月。まだいまほど観光地化されていなかった頃。

きっかけは、ひとつの絵画との出会い。箔をふんだんに使用したバリの黄金色の海の風景。
ごく単純に、描かれた同じ場所、同じ時期に身を置いてみたかった。それが夏の終わりの夕刻。

といえばなんかカッコよく聞こえるが、その頃はいろんな迷いが頭をぐるぐるし、それをなんとかとっぱらいたかっただけ。
滞在中、小屋のような宿でにわとりの鳴き声で目をさまし、日本語を教えてほしいと毎朝通って来る地元の少年にバリ語を教えてもらったり、毎日地元の人にバリダンスを習ったり。絵画に描かれている海にももちろん行った。そこは思ったより観光客で賑わっていたが、期待を裏切らない美しさだった。
結局、箔にはまったく関係のない日々を過ごしたが、はじめての自分の意思で客観的に箔を捉えるためのアクションだったなあと今になって思う。

その絵画は実は社長が気に入って購入したものなので、いま現在も社長室の壁に飾られているが、社長は私の一連の行動を知らないまま今に至る。
20年近く経ったいま、思えば腹を決めて金箔に向き合えるまでにあの手この手で時間を費やしたな、と感じる。それがとても貴重かつ必要だったと思える経験になっている。

m.t
www.hakuza.co.jp
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by hakuza893 | 2015-08-24 15:05
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